予防方法や治療方法はあるの?

治療法は?

手術後の痛みは、ほかの慢性的な痛みの疾患と同じように、いったん慢性化してしまうと元に戻りにくく、治療が難しくなります。また、痛みだけでなく睡眠が妨げられたり、気持ちがつらくなったりと、より複雑な症状が合わさりいろいろな治療が効かない状態に陥ることがあります。
以下の治療法などがありますが1)、残念ながら効果が保証されたものはありません。患者さんひとりひとりの状態をみて、それぞれに合った治療を考えていきます。一般的な鎮痛薬では効きづらいことが多いため、痛み治療を専門としている医療機関へ相談することが望ましいです(主治医から紹介してもらいましょう)。
また、おくすりだけで症状が緩和できないような痛みが続いている場合には、医師だけでなく、看護師、薬剤師、臨床心理士、理学療法士などのいろいろな職種のメンバーが協力しながら治療にあたります。

主な治療法

  • おくすりでの治療 (効果と副作用を確認しながら調整します)
    *一般の鎮痛薬は効きづらいことが多いので、一部の抗うつ薬(もともとはうつ病を治療するお薬でしたが痛みに効果があると分かってきて使用されるようになったもの)や、神経障害性疼痛の治療薬などが使われることが多いです。
  • 神経ブロックなどのインターベンショナル治療
  • 認知行動療法・カウンセリングなどの心理学的な治療
  • 運動療法・リハビリ
  • 自己管理法の習得

予防法は?

手術後の痛みが完全に慢性化してしまうと治療が効きづらく、元に戻るのが難しくなります。よって、発症を予防することが大事なのですが、残念ながら慢性術後痛を確実に予防できる方法はまだありません。
手術直後から痛みが強く長引く場合に痛みが慢性化しやすいということが知られています。よって、手術後数日間の鎮痛をしっかり行うことが重要だといわれています。「手術をしたのだから痛いのは当たり前」と思って痛みを我慢しすぎることは避けなければいけません。 手術後つらい痛みがある場合には入院中でも退院した後でも、主治医や担当の看護師さんに伝えて対応してもらいましょう。

手術の予定が決まった時には・・・・

以下の方は、慢性術後痛になりやすいといわれていますので、事前にしっかり対策してもらえるように主治医にあらかじめご自分の状況を伝えておきましょう。

  • 以前から体のどこかに慢性的な痛みがある人
  • 普段から鎮痛薬を常用している人
  • これまでの手術で慢性術後痛を発症したことがある人
  • 不安などストレスが強いと感じている人
  • 喫煙者

さらに喫煙習慣のある人は、手術直前まで継続してタバコを吸っていると痛みが長引きやすくなるだけでなく、肺炎などの術後合併症をおこす危険性が高くなるのでしっかり禁煙しましょう。