どのような症状から診断されるの?
どのような症状があるの?

手術した体の部位やきずの程度がさまざまなので「慢性術後痛特有の症状」はありません。
ただし、手術中の神経損傷(実際に神経を傷つけなくても手術で引っ張られたり圧迫されたりなど避けられないことでも起こりうること)が慢性術後痛の発症に関連している場合があり、慢性術後痛の患者さんの一部(35-57%)では「神経障害性疼痛」の症状がみられるといわれています。1)
神経障害性疼痛の特徴
- 細かい針で刺されたようなチクチクした感じ
- ビリビリ痺れた感じ
- ジンジンと焼けたような痛み
- 電気が走るような痛み
- 服がさわるなど本来なら痛みと感じないような軽く触った刺激を痛いと感じる(アロディニア)
- 他の場所に比べて痛みを強く(敏感に)感じる(痛覚過敏)
手術中の神経損傷が必ずしも慢性術後痛を発症するわけではありませんし、慢性術後痛を発症した患者さんすべてが神経障害性疼痛を有するとは限りません。 ただし、神経障害性疼痛は、他の痛みの患者さんと比較して、痛みの強さや機能障害が大きく、日常生活に支障をきたしやすいといわれています。また、肺の手術や乳腺の手術は他の手術(人工膝関節置換術など)に比べて神経障害性疼痛を生じる割合が多いといわれています。2)
どのように診断されるの?

慢性術後痛と診断するための特別な検査はありません。
ただし、次の項目にすべて当てはまる場合は慢性術後痛と考えられますので、3)痛みでお困りの場合は痛み治療の専門医へ相談することをお勧めします。
- 手術後から生じた痛み または 手術後に強まった痛みである。
- その痛みは3カ月以上続いていて、日常生活に支障がある。
- 手術直後から痛みがずっと続いている、または 一旦よくなったはずなのに再び痛くなった。
- 手術に関連した場所が痛む。(きずの周囲など)
- がんなど病気の再発や感染といった他に考えられる痛みの原因がない。
参考文献
- Bruce J, et al. Rev Pain 5 (2011): 23–9
- Schug SA, et al. Pain 160 (2019): 45-52
- Morlion B, et al.
https://iaspfiles.s3.amazonaws.com/GlobalYearFactSheets/13.+Pain+Management+for+CSPS+Patients.Carr-Morlion-EE.pdf